黄色いレシート
「このむぎわら帽子の人、ここでプロポーズをされていたんですよ。ボク、歩道から偶然その様子を見てたから、慌ててむぎわら帽子を取りに行ったんです。

返そうと思ったころにはもうその人はいなくなってて、それからずっとこの帽子は待ちぼうけなんですよ」


そう言って苦笑いを浮かべた。


旦那さんの話を聞きながら、目の奥がどんどん熱くなっていくのがわかった。


「はい。お姉ちゃん」


少女がむぎわら帽子を差し出してくる。


少女はこの帽子が明美のものだとわかっていたかのように、純粋な瞳で明美を見つめている。


「……ありがとう」


声が震えていた。
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