黄色いレシート
この海岸でのプロポーズも、遠くから見ていたのだから。


「この帽子は今度はタエちゃんが持っているべきだと思うの」


「どうしてですか? これ、大切なものですよね?」


「そうよ。だけどこの帽子は一度私の元から離れているの。その時はマミちゃんが持っていたわ。

そしてまた戻ってきて、今度はタエちゃんが持つの。きっと、この帽子必要な人の場所を点々とする帽子のなのよ」


明美は楽しげな口調でそう言った。


明美の言っていることはわかる。
< 193 / 212 >

この作品をシェア

pagetop