黄色いレシート
妻はとても真剣な表情で幸太郎を見つめ返した。


「木工細工よ。あなたはこんなの誰でもできるって言ったけれど、あたしにはそんな風には思えない。仕事だって料理だって、誰でもできそうだけどそうじゃないじゃない?」


妻の言おうとしていることはよくわかった。


幸太郎が硬くないご飯を炊けるようになったのは最近だから、何事にも努力が必要なのだと理解していた。


「作っても、売れなきゃ意味がないからね」


材料費を先に支払うだけで、商品が売れなければ結局赤字だ。
< 70 / 212 >

この作品をシェア

pagetop