〈BL〉意地悪ダーリンは年下科学教師
第五話🌿精神安定剤と美卯ちゃんの悩みと実験室
家の中に入り、
手洗い・うがい・着替えを
済ませた凌杏は自室に入り
例の{薬}を探しているみたいだ。
『ねぇ、
それは何の{薬}?』
戻って来た凌杏に訊いた。
『先生ん家の
長女・美卯さん
専用の精神安定剤です』
凌杏の話しによると
柊和の娘・美卯ちゃんは
十二歳でしっかり者だが
ストレスを溜めやすく、
時々軽い鬱になってしまうとのこと。
『今は小学生も鬱に
なるような時代なんだね……』
悲しい世の中だ。
『私達も先生達もそうですが
同性同士の夫婦・両性具有
というのは
世間では理解が
追い付いていません。
そういうのもあって
美卯さんは時々、
軽い鬱になってしまうのです』
僕や柊和や
【父さん】の親友みたいな
所謂〔両性具有〕
と呼ばれる人種はそう多くないし、
世間から見ればまだまだ“特殊”だろう。
人は自分と
違うものを嫌う傾向がある。
特に此処日本はそれが顕著だ。
一番の例は“集団行動”だろう。
特に、小・中学校では
それが試されるから
ちょっとでも違う行動をすると
ハブかれ、イジメられることもある。
美卯ちゃんの場合は
柊和が“母親”なのに“男”だから
その関係で学校で
何か言われているのかも知れない。
下の双子はまだ二年生だと
凌杏が教えてくれた。
二人はまだ、
色々わからない年だろう。
『最初は病院の薬を
飲んでいたんですが
合わなかったようで
すぐに身体が
拒否反応を起こしました。
それで、私が美卯さんの
血液を採取して
身体に合う{薬}を
作ることになったんです』
[これは外部には
漏らさないでくださいね]
と苦笑しながら
凌杏が言った。
いくら、知識があるとはいえ
採血はちょっとヤバいかもね(苦笑)
『勿論、誰にも言わないよ。
第一、{薬}も同じだろう?』
そもそも、
{薬}を作ること自体も
口外できない案件だろう。
『それも、そうですね(苦笑)』
*✲゚*。 ♪*✲゚*。 ♪*✲゚**✲゚*。 ♪*✲゚*。
例の{薬}の在庫分を
善哉家に届けられたのは
あの日から三日過ぎた夕方だった。
「忙しいのに悪ぃな」
柊和が謝ってきた。
別にいいのに。
「学校に行きたくないって言ってな」
美卯ちゃんは自室に篭っているらしい。
「飯時とかは出て来るんだが
それ以外は篭りっぱなしだ。
俺が理由を訊いても
答えてくれなくてな……」
凌杏のいうように
僕達は“特殊”だからね。
『僕達が話してみてもいいかな?』
“親に言えない気持ち”っていうのは
誰しもあることだと思う。
「頼む……」
僕は母さんがこの身体のことを
気持ち悪いなんて言わずに
色々教えてくれたから
受け入れられた。
『では、美卯さんの
部屋に行きましょう』
凌杏と二人
で美卯ちゃんの部屋に向かった。
ノックしてみる。
「誰?」
中から返ってきた
可愛らしい女の子の声。
『お久しぶりです美卯さん。
凌杏ですが、今日は
あなたに紹介したい人が
いるので連れてきたんですよ』
部屋のドアが少しだけ開いて
その隙間からこちらを
窺うように見ている。
目が合うと凌杏は
もう一度、お久しぶりですと言った。
「後ろにいる人が紹介したい人?」
一瞬だけ僕を見て、
視線を戻しながら
凌杏に訊ねた。
『そうですよ。
私の奥さんで
妊娠六ヶ月です』
「ママと一緒ですね」
もう一度、僕を見て
美卯ちゃんはそう呟いた。
『そうだよ』
目線を合わせながら笑った。
「入りますか?
廊下は寒いので冷えますよ?」
僕が妊夫だとわかって
入れてくれようと思ったらしい。
優しい子なんだな。
部屋のドアを開けて
中に入れてくれた。
『ありがとう』
二人で美卯ちゃんの部屋に
入れてもらい、
ラグが敷いてある床に座った。
『凌杏の妻で
寿々崎心綺人です。よろしくね』
向かいに座った美卯ちゃんに
笑顔で自己紹介した。
「善哉美卯です……
よろしくお願いします」
緊張してるのかな?
『美卯さん、私と話す時と
同じでいいんですよ。
貴女はまだ小学生なんですから』
成る程(苦笑)
『僕もそうしてくれると嬉しいな』
目上の人には敬語で。
だけど、そんなことは
大人になってからでいい。
多分、凌杏と初めて会った時も
美卯ちゃんは
敬語だったのを諭したんだろ。
「本当にいいの?」
うん。こっちの方が
子供らしくていい。
『勿論*♬೨』
「ありがと♡」
可愛いな♬*゜
『早速、本題ですが
最近、学校に
行きたくない理由はなんですか?』
美卯ちゃんに話しを聞いてみると
僕の予想が当たっていた。
“普通”の家庭とは違う僕達。
端から見れば
“父親”が二人に見えなくもない。
だけど、実際には柊和は“母親”だ。
そして、僕も“母親”になる。
『美卯さん、確かに私達は
“普通”のご家庭とは色々違いますが
そもそも、“普通”とは何でしょうか?
貴女が悩む事は何もないのですよ。
そして、周りの言葉など
気にする必要はないのです』
凌杏のいうとには一理ある。
“普通”とは誰の基準なのだろうか?
何が基準なのだろか?
そして、何か
いけないことをしただろうか……?
この可愛らしい小さなお姫様が。
『そうだよ美卯ちゃん、
凌杏のいう通り
周りの言葉なんて
気にしなくていいんだ』
これから生まれてくる
僕達の子供もきっと、
同じようなことを言われるのは
火を見るよりも明らかだ。
だけど、間違っていないと教えたい。
『それから、ママにも話してごらん。
美卯ちゃんが
何も話してくれないと
寂しそうな表情(かお)をしていたよ?』
柊和とは会ったのは
二回目だし
結構、口が悪いが
家族をとても愛してるのがわかる。
『そうですよ(ニコリ)
話してあげてください。
{薬}は柊和さんに
預けてありますけど
本当に苦しく
なった時だけ飲んでくださいね?
極力、飲まないのが
一番いいですが……』
あはは(苦笑)
凌杏が自分で
作った{薬}なのに
そんなことを言っている。
まぁ、市販薬にしろ
処方薬にしろ
凌杏の作った{薬}にしろ
そもそも、“薬”は
極力飲まない方がいい……
「うん、頑張って
飲まないようにするね」
笑顔が痛々しい。
手洗い・うがい・着替えを
済ませた凌杏は自室に入り
例の{薬}を探しているみたいだ。
『ねぇ、
それは何の{薬}?』
戻って来た凌杏に訊いた。
『先生ん家の
長女・美卯さん
専用の精神安定剤です』
凌杏の話しによると
柊和の娘・美卯ちゃんは
十二歳でしっかり者だが
ストレスを溜めやすく、
時々軽い鬱になってしまうとのこと。
『今は小学生も鬱に
なるような時代なんだね……』
悲しい世の中だ。
『私達も先生達もそうですが
同性同士の夫婦・両性具有
というのは
世間では理解が
追い付いていません。
そういうのもあって
美卯さんは時々、
軽い鬱になってしまうのです』
僕や柊和や
【父さん】の親友みたいな
所謂〔両性具有〕
と呼ばれる人種はそう多くないし、
世間から見ればまだまだ“特殊”だろう。
人は自分と
違うものを嫌う傾向がある。
特に此処日本はそれが顕著だ。
一番の例は“集団行動”だろう。
特に、小・中学校では
それが試されるから
ちょっとでも違う行動をすると
ハブかれ、イジメられることもある。
美卯ちゃんの場合は
柊和が“母親”なのに“男”だから
その関係で学校で
何か言われているのかも知れない。
下の双子はまだ二年生だと
凌杏が教えてくれた。
二人はまだ、
色々わからない年だろう。
『最初は病院の薬を
飲んでいたんですが
合わなかったようで
すぐに身体が
拒否反応を起こしました。
それで、私が美卯さんの
血液を採取して
身体に合う{薬}を
作ることになったんです』
[これは外部には
漏らさないでくださいね]
と苦笑しながら
凌杏が言った。
いくら、知識があるとはいえ
採血はちょっとヤバいかもね(苦笑)
『勿論、誰にも言わないよ。
第一、{薬}も同じだろう?』
そもそも、
{薬}を作ること自体も
口外できない案件だろう。
『それも、そうですね(苦笑)』
*✲゚*。 ♪*✲゚*。 ♪*✲゚**✲゚*。 ♪*✲゚*。
例の{薬}の在庫分を
善哉家に届けられたのは
あの日から三日過ぎた夕方だった。
「忙しいのに悪ぃな」
柊和が謝ってきた。
別にいいのに。
「学校に行きたくないって言ってな」
美卯ちゃんは自室に篭っているらしい。
「飯時とかは出て来るんだが
それ以外は篭りっぱなしだ。
俺が理由を訊いても
答えてくれなくてな……」
凌杏のいうように
僕達は“特殊”だからね。
『僕達が話してみてもいいかな?』
“親に言えない気持ち”っていうのは
誰しもあることだと思う。
「頼む……」
僕は母さんがこの身体のことを
気持ち悪いなんて言わずに
色々教えてくれたから
受け入れられた。
『では、美卯さんの
部屋に行きましょう』
凌杏と二人
で美卯ちゃんの部屋に向かった。
ノックしてみる。
「誰?」
中から返ってきた
可愛らしい女の子の声。
『お久しぶりです美卯さん。
凌杏ですが、今日は
あなたに紹介したい人が
いるので連れてきたんですよ』
部屋のドアが少しだけ開いて
その隙間からこちらを
窺うように見ている。
目が合うと凌杏は
もう一度、お久しぶりですと言った。
「後ろにいる人が紹介したい人?」
一瞬だけ僕を見て、
視線を戻しながら
凌杏に訊ねた。
『そうですよ。
私の奥さんで
妊娠六ヶ月です』
「ママと一緒ですね」
もう一度、僕を見て
美卯ちゃんはそう呟いた。
『そうだよ』
目線を合わせながら笑った。
「入りますか?
廊下は寒いので冷えますよ?」
僕が妊夫だとわかって
入れてくれようと思ったらしい。
優しい子なんだな。
部屋のドアを開けて
中に入れてくれた。
『ありがとう』
二人で美卯ちゃんの部屋に
入れてもらい、
ラグが敷いてある床に座った。
『凌杏の妻で
寿々崎心綺人です。よろしくね』
向かいに座った美卯ちゃんに
笑顔で自己紹介した。
「善哉美卯です……
よろしくお願いします」
緊張してるのかな?
『美卯さん、私と話す時と
同じでいいんですよ。
貴女はまだ小学生なんですから』
成る程(苦笑)
『僕もそうしてくれると嬉しいな』
目上の人には敬語で。
だけど、そんなことは
大人になってからでいい。
多分、凌杏と初めて会った時も
美卯ちゃんは
敬語だったのを諭したんだろ。
「本当にいいの?」
うん。こっちの方が
子供らしくていい。
『勿論*♬೨』
「ありがと♡」
可愛いな♬*゜
『早速、本題ですが
最近、学校に
行きたくない理由はなんですか?』
美卯ちゃんに話しを聞いてみると
僕の予想が当たっていた。
“普通”の家庭とは違う僕達。
端から見れば
“父親”が二人に見えなくもない。
だけど、実際には柊和は“母親”だ。
そして、僕も“母親”になる。
『美卯さん、確かに私達は
“普通”のご家庭とは色々違いますが
そもそも、“普通”とは何でしょうか?
貴女が悩む事は何もないのですよ。
そして、周りの言葉など
気にする必要はないのです』
凌杏のいうとには一理ある。
“普通”とは誰の基準なのだろうか?
何が基準なのだろか?
そして、何か
いけないことをしただろうか……?
この可愛らしい小さなお姫様が。
『そうだよ美卯ちゃん、
凌杏のいう通り
周りの言葉なんて
気にしなくていいんだ』
これから生まれてくる
僕達の子供もきっと、
同じようなことを言われるのは
火を見るよりも明らかだ。
だけど、間違っていないと教えたい。
『それから、ママにも話してごらん。
美卯ちゃんが
何も話してくれないと
寂しそうな表情(かお)をしていたよ?』
柊和とは会ったのは
二回目だし
結構、口が悪いが
家族をとても愛してるのがわかる。
『そうですよ(ニコリ)
話してあげてください。
{薬}は柊和さんに
預けてありますけど
本当に苦しく
なった時だけ飲んでくださいね?
極力、飲まないのが
一番いいですが……』
あはは(苦笑)
凌杏が自分で
作った{薬}なのに
そんなことを言っている。
まぁ、市販薬にしろ
処方薬にしろ
凌杏の作った{薬}にしろ
そもそも、“薬”は
極力飲まない方がいい……
「うん、頑張って
飲まないようにするね」
笑顔が痛々しい。