ずっと好きだ! 先生のこと
それぞれのエピソード
あの事件以来、北嶋とは話すこともなく、お互い連絡する余裕もなかった。
オレも北嶋も、きっと掛け合える言葉もなかったろうし、慌ただしく時間が流れてくれることに感謝すらした。
北嶋は、絶対無理と言われていた某有名私立大学の受験を希望し、見事合格した。
それを聞いた時は、オレは納得できた。
だって、オレはアイツが頭が良いって知ってたから。
手の内を見せないタイプ。
同じ部活で三年間やって来て、サッカーの試合の時も、そのプレーは際立っていた。
「敵を欺くにはまず味方から!例えオレがどんな行動を取ろうと、お前だけは分かってくれると信じてるよ」
がアイツの口癖だった。
言ってみれば、やり方はむっつりスケベなタイプだけど、オレにしたら北嶋の戦法は分かりやすいほど素直なもんだった。
やりたくない事には一切手を付けない、あからさまに態度に出ているのに、本人は気付かれてないと思っている。
お調子者で、人当たりもよく誰とでも仲良くできる。
アイツの周りにはいつもたくさんの人がいた。
そして心は真っ直ぐなヤツだ!
北嶋はプロのサッカー選手になることを夢見て、サッカーで推薦を狙っていたけれど、アイツは無理な事を分かってた。
だから、頭で勝負し、狙った大学に行き、そこでサッカー部に入り、事実上頭の良いサッカー部の一員となった。
選手としてより、指導者としての頭角を現して行った。
四年間、サッカーをやってみたものの、プロになる事は並み大抵じゃない。
アイツは限界を知っていた。