ずっと好きだ! 先生のこと
早川先生はそっとうなずいた。
梁瀬の気持ちは痛いほどよく分かった、だけに、かけてあげられる言葉が、口にしたらそれだけになってしまいそうで、胸の中にある思いを半分留めた。
「梁瀬さん、好きな気持ちは止められない。止められるもんじゃないと思うの。
だから止めなくていいと思う。ただ、相手を不幸にしてまで望むのは違うと思う。
好きな人には常に笑っててほしいじゃない?その人が笑っていたらこっちまで幸せな気持ちになる。
あなたはそんな事含め全部分かってる。偉かったね?」
そう言うと梁瀬の頭を優しく撫でた。
その瞬間、梁瀬の抑えていた思いが一気に溢れ出し、早川先生の肩で声を上げて泣き出した。
梁瀬が泣き止むまでずっとずっとそうしていた。
しばらくしてその肩越しに、
「早川先生?まだ一条君の事を?」梁瀬はそっと聞いた。
「好きよ?だって喧嘩別れした訳でもないし。でも待ってる訳でもない。
彼の人生の足枷になんてなりたくないの。それこそ自分が惨めじゃない?
彼の明るい未来を笑って見送りたいし、私にも未来がある。
でももしも、二人の絆や思いが強いのなら、それに運命の赤い糸で結ばれ本当に縁があるのなら、離れていても必ずどこかでもう一度出逢えるはずだから」
梁瀬に向かって笑って返した。
「じゃぁ、南先生とは?」
「南先生には本当に親切にしてもらったし、支えてもらったのも事実。
でもだからっていつまでも甘えてられない。こんな状態、相手にも失礼だものね?
ただ女として南先生には接した事なんて一度もない!
だから南先生とどうこうなろうなんて思ってもないし、考えてもないわ」
はっきりと梁瀬の前で、早川先生は宣言した。