ずっと好きだ! 先生のこと
また別の日、歩いていると、待ち伏せていたリックに、いきなり横っ面パンチされ「あぁ~悪い!手が滑った!」など、意味のない暴力を振るわれる。
何をされても一切何も言わなかったオレに、暴力は奴のストレス解消のように日増しにエスカレートしていき、鼻血はもちろん、毎日唇には殴られた跡が残った。
でもこんな光景を、いつも心配そうに見ていた女の子がいた。
栗色の髪に、茶色の瞳の目鼻立ちのはっきりとした綺麗な女の子。
名前はオリヴィア。
なぜだろう?放っておいてくれればよかったのに、この日に限って彼女は歩み寄って来た。
最初は何も言わず、オレの唇から流れる血を綺麗なハンカチでそっと拭いてくれた。
「どうして何も言わないの?」彼女が悲しい目でオレに呟いた。もちろん英語で。
「……」
「悔しくないの?」
「言葉が分からない」オレはそう言って首を振った。
彼女は溜息をつきながら首を横に振って去って行った。
しかし、オリヴィアはオレが殴られる度、哀れに思ったんだろう、毎回血を拭いてくれた。
「もうハンカチが無くなっちゃう」て笑って言った。
何となくそう言った気がした。適当に解釈する自分にも笑ってしまう。
少しずつ彼女とは打ち解けていき、彼女からネイティブな英語を学ぶようになった。