ずっと好きだ! 先生のこと
そのあと先生は、
「一条君、絵を描くの好き?」
と続けた。先生の急な質問に驚いた。
「うん。趣味って程度も描いてないけど、何か好きかな」
「あなたの描く絵はとても個性的。
それと……あの詩、きっと一条君しかできない表現なんだと思う。
そう言う感性大切にしてほしい。もしまた今度何か描いたら見せてね?」
「うん。分かった。そんな風に言われたの初めてだよ。
けど何か変な感じ。いつも学校で会ってる先生とこんな所で話してるなんて」
「ほんとね?」
二人顔を合わせて笑った。
けど、胸の中には余裕もなく、先生に鼓動が聞こえそうなほど激しく鳴った。
何かうまく話せない自分がいる。
その場が持たず、夜空を見上げると星がいくつか見えた。
「じゃ、ここで。まっすぐ帰るのよ!」
と手を振る先生を見送った。
まるで月下美人。瞼に残る輝いた笑顔が胸を締め付ける。
昼間の暑さとは対照的に、夜はひんやりとした風が肌を撫でていく。
その冷たさが、恋しさを一層湧き起こす。
先生に逢いたい……