ずっと好きだ! 先生のこと
先生を振り向かせたい一心で出した答え。
動機は不純だけれど、その日からオレは勉強に打ち込んだ。
手にするのも嫌だった参考書、赤本。
絶対に頼りなくなかった親父に、断られ覚悟で連絡を入れた。
オレの親父は単身アメリカで,不動産やエステ関連のビジネスを展開している。
自慢ではないが、結構有名で実業家としては名を連ねれいる。
母親はオレが幼い時に、病気で亡くなったと聞いているが……
オレはそんな母のいた日本にいたくて、一人暮らしている。
「大学行くから家庭教師付けてほしい!もしくは塾へ行きたい!」
思い切って親父に話した。
「珍しいな?お前から電話くれるなんて。お前が本気なら家庭教師をつけてやる!
本来なら卒業と同時にアメリカへ連れて帰るつもりだったが、
本気でやりたい事を見つけたのなら文句は言わん!
ただし!もし大学がダメだった場合は即アメリカへ連れ戻す!
浪人とやらは認めない!いいな!」
それがあの人、親父の唯一の優しさ、いや、寛大な処置だ。
ただ、電話している間はなぜか嫌な感じはしなかった。
「ありがとう……」
その一言が精一杯だった。
親父が示した条件のためにも、オレはさらに勉強漬けの毎日。
朝早く起きて問題を解き、学校は学校でそれなりにこなした。
家に帰ると家庭教師にみっちりと勉強を教わり、
休憩時間はご飯を食べるくらいなもんで、後は寝る。それの繰り返し。
いつも一人だし、静かな部屋だけど、一段と淋しく凍り付いた部屋へと変わって行った。