ずっと好きだ! 先生のこと
北嶋が去ってから、梁瀬は一条との思い出を巡らせていた。
幼い頃からずっと一緒だった一条の事を。
何かあればすぐに駆け付けて、自分を守ってくれた小さな王子様。
「祐希ちゃんをいじめるな!」
「祐希ちゃん大丈夫?」
「もう泣かないで?祐希ちゃん」
「祐希ちゃん大好き!お嫁さんになってくれる?」「うん!いいよ?祐希も徹くん大好き!」
「何やってんだよ~祐希」
「祐希?また転んだのか?大丈夫かよ~見せてみろ!」
「お!祐希!」
「祐希?」
「祐希!!」
「おい!祐希!」
王子様から兄のように、強い騎士(ナイト)に変わって行った。
思い出しながら、止め処なく涙が溢れて出る。
「おはよう~梁瀬」
「梁瀬には関係ねぇだろ?」
「梁瀬?どうした?」
「またな?梁瀬」
「よ!梁瀬」
「梁瀬!」
「梁瀬……」
周りから冷やかされて、呼び方が祐希から梁瀬に変わった。
「あの時から、ただの幼馴染になってたんだ。
ううん、違う!騎士に変わった時からもう徹君は……
私一人でこんなに、バカみたいじゃん!」
一条の優しかった声が耳から離れない。
梁瀬は声を出して泣いた。