クリスマスの日に、ツリーを見上げて



「ばいばーい」



友達に声をかけて、学校から出る。


最寄駅から電車で一駅のところにある高校。


歩こうと思えば普通に歩ける。



学校から歩いて帰ると、私にとって大きなご褒美がある。


それは、途中で通る商店街のクリスマスツリー。


昨日見た奴ほど大きくないけど、大切に扱われているのがわかってみてるだけで心が温かくなる。



ここを曲がったらツリーが見える。



ツリーへの期待を膨らませながら歩く。


角を曲がると、そこにはツリーが...



「あれ!?」



思わず声を出していた。


ツリーがない。


しばらくぼんやりと突っ立ってやっと気づく。


クリスマス、昨日じゃん。



そりゃそうだ。あるわけない。


期待していた分の反動が思ったよりも大きくて、トボトボ家に続く道の方へ歩き出す。


もう、駅よりも家の方が近くなってしまった。今更戻れない。




「あれ!?」



後ろから大きな声が聞こえて、思わず振り返る。


ツリーがあった場所を呆然と見つめながら突っ立っている人が一人。


しばらく見つめていると、やっとクリスマスが終わったことを理解したのかはっとした表情になる。


そして、視線を感じたのかこちらを振り向く。



私は、反射で声を出していた。



「「昨日の!!!」」



私と、昨日の彼の声が重なる。





そこから素敵なラブストーリーが...始まる?



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