クリスマスの日に、ツリーを見上げて



「ここです」


「へぇ~!すごいですね!」



店に入るなりそう呟いた彼に、私は吹き出してしまった。



「ぶふっ、何がですか?」



必死に笑いをこらえながら聞いてみると、私の様子に気づいていないのか、気づいていてわざとなのか、元気にこう言い放った。



「おしゃれな感じ!」


「なんですかそれ~!」



彼の返答を聞いて本格的に笑い始めてしまった。



「な、なにがおかしいんですか!?」



突然笑い出した私に驚いた彼は素っ頓狂な声を上げる。


どうやら気づいていなかったらしい。


そして彼の素っ頓狂な声が、余計に私の腹をくすぐった。



「あははは!」


「な、なんで笑うんですか~!」



あわあわしながらも私が落ち着くのを待ってくれた彼が優しいことは、もう知っている。


その優しさに少し甘えて、私は気が済むまで笑った。


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