クリスマスの日に、ツリーを見上げて
「ふう」
「落ち着きました?」
「はい。ごめんなさい、待たせてしまって。」
持ってきていた水を飲んで、心を落ち着けさせる。
「なんか、ずいぶんのびのびとした笑い方だったので、止めるのもよくないかと思って止めませんでした。」
「そんなにのびのびしてました?」
「はい。なんか、一種のストレス発散行為みたいになってましたよ。」
なんだか、私が気づかなかったことまで見抜かれていて、少し恥ずかしい。
もしかしたら私は、結構彼に甘えていたのかもしれない。
「落ち着いたみたいなので、そろそろ選びましょうか。
あんまり遅くなるとご両親が心配するでしょうし。」
「そうですね。といっても、今日両親は夫婦二人でクリスマスデートで家にいないんです。」
「仲がいいご両親ですね。」
「ええ、私が嫉妬するほど」
「いいことです」
ニコニコと笑う彼につられて私も笑顔になる。
「どんなマフラーがいいですか?」
「んん、何がいいんでしょうね」
「あ、これとか似合いそうです!」
そう言って彼が取り出したのは、派手過ぎず、地味過ぎず、いわゆる私好みど真ん中のマフラー。
「それにします」
「えっ、そんな簡単に決めちゃっていいんですか!?」
「買い物に必要なのは素早い決断だと思ってるので。
それに、私好みだったし」
「気に入っていただけたのなら、これ買ってきちゃいますね。」
手に持ったマフラーをレジまでもっていく彼。
あ、やば、値段チェックするの忘れた。
高かったらどうしよう。