クリスマスの日に、ツリーを見上げて



「ふう」


「落ち着きました?」


「はい。ごめんなさい、待たせてしまって。」



持ってきていた水を飲んで、心を落ち着けさせる。



「なんか、ずいぶんのびのびとした笑い方だったので、止めるのもよくないかと思って止めませんでした。」


「そんなにのびのびしてました?」


「はい。なんか、一種のストレス発散行為みたいになってましたよ。」



なんだか、私が気づかなかったことまで見抜かれていて、少し恥ずかしい。


もしかしたら私は、結構彼に甘えていたのかもしれない。



「落ち着いたみたいなので、そろそろ選びましょうか。
あんまり遅くなるとご両親が心配するでしょうし。」


「そうですね。といっても、今日両親は夫婦二人でクリスマスデートで家にいないんです。」


「仲がいいご両親ですね。」


「ええ、私が嫉妬するほど」


「いいことです」



ニコニコと笑う彼につられて私も笑顔になる。



「どんなマフラーがいいですか?」


「んん、何がいいんでしょうね」


「あ、これとか似合いそうです!」



そう言って彼が取り出したのは、派手過ぎず、地味過ぎず、いわゆる私好みど真ん中のマフラー。



「それにします」


「えっ、そんな簡単に決めちゃっていいんですか!?」


「買い物に必要なのは素早い決断だと思ってるので。

それに、私好みだったし」


「気に入っていただけたのなら、これ買ってきちゃいますね。」



手に持ったマフラーをレジまでもっていく彼。


あ、やば、値段チェックするの忘れた。


高かったらどうしよう。


< 7 / 11 >

この作品をシェア

pagetop