【短】世界でたった一人、愛してはいけない『人』
私はミルクを飲むことに決め、チラリと男を確認すると、ホッとした表情を浮かべていました。
……変な男ね。
私をいったいどうしたいのかしら?
そう思っても、私は言葉を話せないので尋ねることもできないのですけれど。
だけど確かなことは、この男を無条件に信じてはいけない、ということ。
扉の前に立ち、私が逃げ出さないようにしています。
『にゃあ』
ミルクを飲み終わりましたよー、と鳴きました。
男は大きな手で少し乱暴に私の頭をなでると、ミルクの容器を持って部屋から出ていきました。