【短】世界でたった一人、愛してはいけない『人』

こんな困ったときは神さまに尋ねるのが一番です。


「あの、神さま」

「なーに?
 ルルちゃん」

「私、人間のときの記憶がないのですが」

「あっ……あー、そっかー、そうなのかー。
 だけど薄々そんな気もしてました!
 でも、安心してね、ルルちゃんの記憶は実は取っておいてあるから!」


ニコニコと神さまは答えて、私の頭をなでてくださいました。


私、もう猫じゃないんですが……。


けれども、幸せなので神さまにされるがままです。


「だけど、ルルちゃんは人間のときの記憶は必要?」

「まぁ、そうですね……。
 なくても不便ではありませんが、神さまとの記憶は欲しいです」


神さまは目をまん丸くさせると、私を抱きしめました。


少し苦しいです。


< 18 / 32 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop