【短】世界でたった一人、愛してはいけない『人』
こんな困ったときは神さまに尋ねるのが一番です。
「あの、神さま」
「なーに?
ルルちゃん」
「私、人間のときの記憶がないのですが」
「あっ……あー、そっかー、そうなのかー。
だけど薄々そんな気もしてました!
でも、安心してね、ルルちゃんの記憶は実は取っておいてあるから!」
ニコニコと神さまは答えて、私の頭をなでてくださいました。
私、もう猫じゃないんですが……。
けれども、幸せなので神さまにされるがままです。
「だけど、ルルちゃんは人間のときの記憶は必要?」
「まぁ、そうですね……。
なくても不便ではありませんが、神さまとの記憶は欲しいです」
神さまは目をまん丸くさせると、私を抱きしめました。
少し苦しいです。