【短】世界でたった一人、愛してはいけない『人』
そんなある日のことでした。
神さまと敵対していた組織が、神さまから溺愛されている私の存在を知ったのです。
神さまは何分力が強い方でしたから、神さまを傷つけることは諦めたのでしょう。
そして、弱い私に目をつけたのです。
私が一人、部屋の中に閉じこもっていたとき、ヤツらがやってきたのでした。
ヤツらは私を殺すつもりだったのでしょう。
死の魔法をかけられましたが、思いもよらぬ結果になりました。
魔法に耐性のない人間だったからでしょうか?
私は猫になってしまいました。
術者すら予想しなかった結果に、もとの人間に戻れるはずがありません。
“何年”もの間、私は猫として生活していました。
実はただの猫ではありません。
神さまと同じ“不老不死”となってしまったのです。
神さまが私を不老不死のカラダにしたのです。
人間の姿じゃないとつまらない、猫なら拒否できないからいい機会だ、という理由で。
なんでも知っている神さまが、私を人間に戻せる薬を開発するまでの何年間、私は猫で居続けました。
神さまがわざとそうしたのか、それとも本気で薬を作れなかったのかは分かりません。