【短】世界でたった一人、愛してはいけない『人』

と、忘れないうちに神さまに聞いておこうと思ったことがあったのでした。


「ところで、あの山賊のお頭みたいな男の人は誰ですか?」

「山賊……?
 ああっ、アレねー僕の上司」

「はっ?」

「上司」


神さまに上司がいるんですか、そうなんですか。

頭が理解することを拒否していますので、忘れましょう。

私は何も聞いておりません。


「え、えっと……この際あの方が神さまの上司だということは置いといて、なぜ私をあの部屋に閉じ込めたのですか?」

「ルルちゃんを守るため」

「はっ?」

「守るため」


デジャヴですね。

つい今も似た会話しましたね。

ただこれは置いてはおけませんからね。

詳しく聞かなければいけないですね……。


「詳しく、詳しくお願いします」

「って言われてもねー、面白い話じゃないよ?」

「面白くなくて結構ですので。
 どうして、あの部屋に私を置いたのか知りたいだけですから」


神さまは困ったように微笑みましたが、話してくださるそうです。

ソファへと移動し、私を神さまの足の間に座らせて。


恥ずかしいですが、これくらいはしてくれないと話してくださらないそうです。

ケチですね。



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