【短】世界でたった一人、愛してはいけない『人』
男は変ににこやかな笑みを浮かべていたけれど、それが怖かった。
だって、私、この男の不興を買うようなことしかしていないもの。
さっき、後のことを何も考えずに引っ掻いてしまったことを若干後悔しました。
「アンタが変なことをしなけりゃ、優しく扱おうと思っていたんだがなぁ」
『にゃー!』
なんてこった、すでに詰んだと言うやつですかい。
思わず口調も変わってしまいました。
いけないいけない、平常心。
「だけど、俺さまは優しいからな」
『にゃあ!』
「なでるだけで許してやる!」
『にゃぁあぁあああ!?』
助かったと思ったらまったく助かっていませんでした。
好きでもない人になでられるなんてただの苦痛よ!