もっともっと、キミのことを愛したいのに。


「───千歳、先輩」


ボソッと、吐息と共に耳元で男の子の声が私の名前を呼んだ。


────えっ、男の子!?!?


「あっ、」


そう認識した瞬間、私の体はグラリと階段の下に向かって傾いていた。


男の子に話しかけられた事で動揺して足を滑らせるなんて、いくらなんでもアホ丸出しじゃない私!!!


「ささちゃぁぁぁぁん!」


私の横に立っていたマミちゃんが必死に私に手を伸ばしているが、届かない。


あー...これ頭打ったら大変だなぁ。


どこか冷静にそんなことを考えていると、床に叩きつけられる前にグイッと腕を引っ張られ、フワッといい香りに包まれた。


ん?いい香り?

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