血も涙もない。
メガネを見つけたのは、かすかに海の匂いがし始めた、草原と呼ぶには狭すぎる、木々が途切れてちょっと広くなったところだった。
 赤いふちのメガネは、ぽつんと落ちていた。
 僕は、包丁とスニーカーとメガネを持って、海に向かって歩いた。
 そして、その日の日が暮れる前に、僕は海についた。
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