甘い魔法にかけられて
・・・ヤバイ、どうしよ

このままじゃ危険だと
頭の中で警報音が鳴り響く

・・・トイレに立った所で帰ってきたらまた来るよね

・・・ハンカチで顔を隠して‥とか

・・・携帯持って席を外すとか

頭を巡る子供みたいな考えに
ハァとため息を吐いたタイミングで

「上村さ〜ん」

やけに親しげな「〜」の入る呼び方で
太股が触れる程の至近距離へ腰を下ろしたKY

「あれ?ジュース飲んでるの?」

「歓迎会なんだからひと口位飲んでよ〜」

始まって小一時間で完璧出来上がったKYは
友達かよっと突っ込みたくなる程の
馴れ馴れしさを前面に出してくる

「飲めないので」

もちろん俯いたまま答えると

「じゃ〜今度一緒に練習しよっかぁ」

「いいえ」

子供のように頭を振り更に俯く

「ダイジョブ?」

首を傾けたKYに覗き込まれ
不覚にも目を合わせてしまった

・・・っ

初めて視線を合わせた衝撃に
心臓が飛び出そうな程強く打ち

たまらずギュッと瞼を閉じた
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