甘い魔法にかけられて
「え?逮捕?大丈夫、柚ちゃんそんな子じゃないよ」

・・・知ってる風の口ですか

頭の中でしか突っ込めず
気分的なダメージもあって

少し攻撃的になる

「用が済んだら帰って下さい、あと・・・もう2度とベランダから来ないで下さいね、次は絶対通報しますから」

「え?そんな~だって、お見舞いに来たんだよ?」
少し眉毛を下げた顔に
胸がざわつくけれど

頭を支配して止まない二人の映像に
更にイヤミも乗っかり

「お見舞いなら結構です。子供じゃないんです・・・困ります。彼女にもこんなことするんですか?嫌われますよ?」

「え?彼女?居ないから大丈夫」

「は?別に隠さなくて良いじゃないですか、てか早くお帰り下さい」

「え?え?なんで?なんで彼女が居ると思うの?」

目を大きく見開いたKYは
かぶりつき気味に攻めてくる

「え、あの、昨日タクシーから一緒に降りてきたでしょ?」

「え?あ~昨日のタクシーかぁ、え?見てた?声かけてくれれば良かったのに紹介したかったからさ」

・・・出向先の事務員に彼女の紹介は不要です

頭の中で小さく突っ込むと

「今朝帰ったからな~もう少し居てくれたら」

・・・泊まりだったとは…そんな報告も不要です

「や、矢野さんの彼女を私に紹介する必要ってあります?」

迷惑顔で返す

「え?は?彼女?沙雪は姉貴だよ?」

「は?うそ?」

「嘘じゃないよ、そんなこと嘘ついてどうする?」

「えぇ、まぁ・・・」


ハテナだらけの噛み合わない会話が
ようやく繋がった
< 42 / 90 >

この作品をシェア

pagetop