甘い魔法にかけられて
奈落の底と涙
それなのに
嗚呼、それなのに

お花畑にいるような気分の私を
瞬時に奈落に落とす刺客が現れてしまった・・・







いつもと同じ朝
年季の入った事務所の様子と
出迎えるのはいつもと同じ付箋達

いつもと同じ顔ぶれに

いつもと違う盛大なる違和感

「航平さ〜〜んっ」

12人の社員プラスKYの視線を
集めているのは

一人の女性

花柄のワンピースにレースのボレロを合わせた可愛らしい姿

足元はキラキラの飾りがついた
7センチヒールをカツカツ鳴らし

綺麗なウエーブのブラウンの髪を
左右に揺らしKYにまとわりついている

・・・どう振る舞えば自分が可愛いく見えるか知ってる風

ゆっくり観察しながらも
向かいの席のKYからも目が離せない


「あ、あの・・・優里亜さんどうしてここへ?」

左の腕を掴まれたまま
眉毛を下げて女性を見るKY

「だって〜航平さんたら電話してもメールしても無視するんだもの、優里亜心配になって来ちゃった」

ペロっと舌を出す様子に
頭の中で深いため息を吐いた

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