甘い魔法にかけられて
死んじゃう・・・と思った瞬間
ふわりと唇が離れた

視線を合わせると

「柚が欲しい」

訴えるような瞳と
ストレートな表現に
頭の中が追いつかない

ただ・・・

頭で考えるよりも
彼の視線の熱さに負けて頷いていた

フワリと身体が宙に浮いて
憧れのお姫様抱っこに気付くけれど

ドキドキした胸が
それに浸る暇を与えない


寝室に入ると

優しくベッドに下ろされた

「柚・・・」

熱っぽい声に
胸がキュンとする

見上げた顔が近づいて
唇が触れる

チュッと音を立てながら
何度も、何度も角度を変えて重なる唇は

離れるのを惜しむように
熱を帯びてきた

唇を彼の舌がなぞると
それを求めるように

唇が開き

ゆっくり深くなる口付けは
身体中の火を灯す

重ねられた唇から
水音が立つ度に

思考さえ溶かしてしまうほど

身体中から熱を発する元になる

ベッドにゆっくり押し倒され
彼の重みが少しかかると

絡めた指に力が入った

彼に酔うような
甘い甘い口付けは

初めての恐怖心を
ゆっくり溶かす媚薬のよう

時折唇が離れる度

「柚、愛してるよ」

耳元で愛を囁いては唇に戻り
頭の中まで彼でいっぱいになる

【愛してる】の魔法に
充分に酔うまで

そう時間は掛からなかった
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