甘い魔法にかけられて
結局翌日・・・
突然決めたことなのに
優里亜さんも実家に帰ると
途中まで同じ電車に乗った

「柚ちゃん帰ったらまたお茶しようね」

可愛らしい花柄のワンピースをヒラヒラさせながら下車した優里亜さんに手を振ると

「ハァ」
深く息を吐いた

・・・優里亜さんいつもより香水キツめで参った

バッグの中のハンドタオルを口元に当てる
揺れの少ない電車に乗ったのに酔ったなんて

気分を誤魔化すように

ペットボトルのお茶を口に含んだ





駅に降り立つと
「柚ちゃんお帰りなさい」

義両親が出迎えてくれ
車に乗ってみどり屋へ

私を出迎える為に
開店時間を1時間遅らせてくれたらしい

「柚ちゃん向こうは慣れた?
航平は大事にしてくれてる?
困ったことはない?」

お義母さんの矢継ぎ早の質問に
ハンドルを握るお義父さんが笑う

「大丈夫です。とっても幸せです」

笑顔を見せるととても喜んでくれた

みどり屋へ着くと
お義母さんと開店準備を始める

店内を歩いて見回すと
足りないポップをその場で書き足していく

「やっぱ柚ちゃんがいないと
この店はダメね〜」

フフフと笑うお義母さんに
謙遜ではなく

「ですよね」

ここが居場所とばかりに
アピールをした
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