ボクのところにおいで。
「にしても、さんざんだったね……」
と、苦笑する拓実。
コーヒーを淹れる手つきは、名前に劣らずの完成度だった。普段、日頃から淹れていることは初心者の僕でも分かるほどだ。
カフェは、静かな雰囲気だが、きちんと人は入っており。
とても落ち着いた雰囲気の温かみあるカフェだった。
僕等は、彼に招かれ。
カフェのカウンター席に並んで腰をかけた。
目の前には、少し形の崩れたケーキと、可愛いクマが描かれたラテアートを振舞われた。
あの紙袋に入っていたのか…と崩れたケーキを見ながら思った。
「さぁ、食べて。ちょっと形崩れちゃってるけど。」
と申し訳なさそうに拓実は笑った。