ボクのところにおいで。
余りにも、嬉しそうに笑うもんだから咄嗟に、何か言えば良かったものの何も言えず拍子抜けした顔をしていたに違いない。
学校からの帰り道だったこともあり、
あわよくば夕日に任せた逆光で
彼女にその顔が見られてなければいいとさえ思った。
「そう……よかったね…」
でも、そんなことを思ったのは一瞬で。
あっという間に、頭の中を占めたのは相手が誰かということよりも。
悠長に構えすぎたということだった。
中学三年生になった現在、クラスは奇跡的に三年とも同じで、
澪がクラスメートの男子を好きにならないように、牽制をしてきたつもりだった。
だから、安心しきっていたのかもれしない。
幼馴染というポジションに頼りにしすぎてしまっていたのかもしれない。