幸せのカタチ〜Fleeting memories〜
夏休みに突入し、またまた俺は昇太と夜の農道にいた。

俺はあの日の事を昇太に報告しようと思って、会うや否や即座に話し始めた。

「奥野さんとマトモに話ししたわ」

昇太が俺の顔を見て、ニンマリして俺に言った。

「おっ!マジか!んで何て何て!?」


ようやく待ってましたー!と言わんばかりに興味津々に聞いてくる昇太。

俺は昇太のテンションとは真逆に冷静にサラッと返す。

「何て…塾の人に俺と奥野さんが同じ小学校だったってことがバレて、そんでちょっと話したくらいだよ」

「てか逆に聞くけど、俺のことって昇太なんか奥野さんに話してた?」

あまり聞かなかった事を率直に聞いてみた。


昇太は「うーん」と過去を思い出すように頭を抱え、パッと顔を上げ、答え出した。

「何回か話はしてたと思うよ。なんのことを言ってたかまでは覚えてないけど、まぁ涼の名前はチラホラ出てたなぁー」

「あっそう。そうかぁー」

俺は少し残念な気持ちになった。

名前を出してくれてたのはまぁ今も変わらず昇太は俺と仲良くしてくれていたから別になんとも思ってはいなかった。

ただ奥野さんが前に言ってた
「特に話すこともなかったから」
という言葉の意味がわかってしまったからかもしれない。

『まぁ名前が出てたくらいじゃ特になんか話題になるってこともなかったんだな』

俺は心の中で納得した。
それと同時に昇太に聞きたいことがあった。

それは

俺のせいで別れてしまったことを奥野さんが知っているかどうかだ。
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