幸せのカタチ〜Fleeting memories〜
ふと頭に浮かんだのは同じクラスの渡辺さんだった。

もう高校生にもなれば携帯電話はみんな持っていて、同じクラスの同級生の連絡先くらいは大抵知っていた。

『メールじゃいつ返ってくるかわからねーからとりあえず電話だ!』

俺は渡辺さんの携帯にかけた。

「プルルルル、プルルルル…」

『頼むから繋がってくれー!』

祈るように電話を握りしめ、必死に耳を傾ける。

「おかけになった電話をお呼びしましたが、お出になりません。」


『終わった…とりあえずメールしとくか』

そう思いメールを送ってから約1時間。
時刻はもうすぐ午後3時になろうとしていた。

俺はもう一度思い出し作戦を実行していた。

しかしサッパリ思い出せずにいたその時だった。

ピロン♪

携帯が鳴った。

俺はすぐに手に取り、メールを確認した。

『渡辺さんからだ!』

『ごめーん!携帯気付かなかったー!んで課題の件なんだけど…』

俺はそれはもう勝ち誇ったような顔をしていたに違いない。


『私課題はやったんだけど、どこだったとか全然覚えてないやー。ごめーん。家に帰ってテキスト見たらわかると思うんだけど、今友達と旅行中で明日の夜まで帰れないんだー!ホントごめんねー!』


一瞬にして崩れ落ちる俺。
唯一の希望を失い、再度絶望に駆られる。

『りょーかい!んじゃまた明日帰ってからでもいいんでわかったら教えてー!』

とりあえず返信した。

『明日の夜って…』

当日まで答えが見つからないよりはマシだと思い、メールでは何気なく返してるように見せたが内心はすごく焦っていた。

『はぁーこりゃみんなの前で晒し者確定かぁー?』
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