幸せのカタチ〜Fleeting memories〜

俺がこの塾に来てから教室のメンバーはいつも一緒で、新しい人が来ているのだとすぐにわかったが、塾では特別仲のいい人もいなかったので、授業中ということもあり、誰かに聞いてまでその新しい人のことを確認しようとも思わなかった。


「ではこの問題を少し時間を取るので考えて見てください。」

数学の問題をみんな黙々とやり始め、教室内が一瞬シーンとなる。

すっかり勉強モードに入っていた俺はもう前にいる人のことなど気にもしていなかった。
そして問題を解くことに集中し、テキストとにらめっこしていた。


すると前の方から先生の囁くような声が聞こえた。

「…くのさん、大丈夫ですか?」
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