幸せのカタチ〜Fleeting memories〜
奥野さんとのメールのやり取りは楽しかった。
初めてメールを送ってからもう1ヶ月ほど毎日続いている。
さすがに毎日メールでやり取りしていると返信するのにも慣れてきていた。
色々な話題が繋がり一度のメールはかなり長文になっていたが、俺にとっては全く苦痛にならなかった。
最初は長々と書いたメールを送ることに躊躇することもあったが、いざ送ってみると奥野さんも長文で返してくるので、次第に気にはならなくなった。
しかし相変わらず塾で面と向かって話すことはなかった。
お互い塾で目は合ったりするのだが、俺はどう話を切り出していいのかわからず、知らないふりをしていた。
メールではお互い塾の話をするものの、それは授業の内容や今日の先生の雑談について等で、『今日も話せなかったねー』なんて事にはならなかった。
『多分塾で話しかけづらいのは奥野さんも同じハズ…』
俺は自分だけがそう思ってる訳じゃないと言い聞かせていた。