幸せのカタチ〜Fleeting memories〜
晩御飯を電子レンジで温めている間、俺は携帯を取り出し、奥野さんからのメールをもう一度読んだ。
『走って帰ってるってのは本当だったんだな』
冗談だと思っていたことが実は本当のことだったとわかり、嬉しくてまたしても口元が緩む。
『さっき帰ってきたよー。こちらこそありがと!奥野さんと色々話せて塾からの帰りは退屈しなかったわー。今度は一緒に走って帰りますか!(笑)』
最後にまた冗談でメールを返した。
温まった晩御飯をテーブルに並べて俺は食べ始めた。
するとメールが返ってきた。
『おかえりー。やっと話せて私も楽しかったー。メールでは色々話してるけど、やっぱり直接話すとまた違うね。走っちゃうー?私けっこう走るの速いよー??(笑)』
メールを見て俺はドキッとした。
『やっと?ってことは奥野さんもやっぱり直接話したかったのかな?』
気になる部分があったが、そこにはあえて触れずにメールを返した。
そうしてまたいつものようにメールのやり取りをした。
しかし俺は奥野さんの「やっと話せた」というワードがずっと気になっていた。
『今度塾で話しかけてみようかな!』
そう思い、色んなことがあったその日は終わった。