幸せのカタチ〜Fleeting memories〜
語り合い
昇太に連絡し、いつもの場所で落ち合うことにした。
こうして何度も昇太と会って話をしているが、こんなにドキドキして会うのは初めてだった。
俺は緊張しつつもいつもの場所に向かった。
昇太はいつもと変わらず陽気な感じでやって来た。
「おっす!やっぱりこの季節は夜が気持ちいいな!」
季節は秋に入りかかった10月頃
日中はまだ残暑が厳しい日もあるが、夜になると風が心地よく、気温もちょうどいい。
昇太はラフな格好でスーッと背伸びをしながら夜空を眺めて言った。
俺も夜空を眺めながら相槌をうち、話す決心を固めていた。
「そんで!何よ?」
昇太は意地悪そうに俺の顔を見て言った。
俺は深呼吸をしていよいよ話す決意をした。
「あのさ、こないだ昇太と話してから色々考えてみた。やっぱり昇太の言う通り、俺奥野さんのこと好きだわ。一緒にいて楽しかったし、メールするのも苦にならないし、むしろメールも楽しいし、ここんとこ毎日メールしてるけど飽きないし」
昇太は頷きながら聞いている。
「でもなんか塾ではまだ話せてないんだよ。なんかうまく言えないけど、変に周りを意識しちゃって…」
昇太は俺の顔を見て微笑み、優しく声をかけてくれた。
「んーまぁ別に無理して話そうとしなくていいんじゃね?多分向こうも同じ気持ちだと思うよ?向こうは周りを意識してとかって訳じゃないかもしれないけど、話すタイミングはきっと来るはずだからその時までは普通にしてたらいいんじゃねーの?それにメール続いてんだったら大丈夫だろ。嫌なやつと毎日メールなんてしねーって」
昇太は俺を励ますように言ってくれた。
「そっかぁーそうだな!そのうち塾でも話せるようになるかな!?」
「そうそう!あんまり深く考えんなよ!また帰りとか一緒になったりするだろうし、そこから距離縮めていけばいいじゃん」
昇太は俺の背中を後押しするように言った。
「まぁーたしかに帰る方向一緒だし、また会えるかもしれないもんな!でも俺まだ気になってることがあって…」
俺は言葉を詰まらせた。
昇太はキョトンとした顔で俺を見て言った。
「何?気になることって?」
俺はしばらく黙って考え込み、そしてとうとう昇太に打ち明けた。