GATHER!!
彼がふと前を見ると、人が立っていた。
月明かりに隠れて、顔は見えない。人影の大きさからすると、まだ若いようだった。

人影は、上を見上げたまま動かない。


「何をやっているんだ?」


不思議に思った男は尋ねた。


「月を見ているんだよ」


若者は答えた。どうやら少年のようだった。


「今夜の月は一段と明るいだろう?」


少年が振り向く。男の目に、うっすらと少年の表情が写る。
彼は笑っていた。


「僕は、月が好きなんだ」

そう言った少年の笑顔は、悲しそうにも、嬉しそうにも、何も感じていないようにも見えた。

男は、この少年に多大なる興味を持った。

様々な感情を一つにまとめたような彼の笑顔は、人をひきつける『何か』があった。
それはまるで、すべてを拒絶しているようであり、受け入れているようでもあった。
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