GATHER!!
少年は、前々からこの正義や光に囚(トラ)われ、ステレオタイプに押し込めたがる大人達こそが悪だと考えていた。その大人に従う子供も悪だと思っていた。悪に染まっていないのは自分だけだと思っていた。
だが、この自分が悪だと堂々と言い切る男は、大人でありながら、人間でありながら、少年の基準の悪に染まっていない、唯一の存在だと思った。


「君は、面白いね」


少年は静かに呟(ツブヤ)いた。


「どうやら俺の考えを理解してもらえたようだな。まあ、酔っ払いの戯言(ザレゴト)にしか過ぎないが」


男が静かに笑う。

少年は、今まで人に心を許すということを絶対にしなかった。ずっと一人で生きてきた。
だが、この男なら気を許してもいいと思った。なぜだか分からないが、そう思った。

しかし、そう思うと同時に、この男が何者なのか、とても気になった。
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