GATHER!!
吸血鬼(ヴァンパイア)
かつ、かつ、かつ。
靴の音が谺(コダマ)する。
時刻は丑三つ、辺りに広がるのは闇と静寂だけだ。
その中を急ぎ歩く、老人が一人。
彼はこの辺りでも有名な貴族で、今はパーティーの帰りである。
いつも側にいる従者はいない。
「全く、何じゃあやつらは…。少し給料を減らしたぐらいで次々辞めおって…」
ぶつぶつと呟きながら、老人は歩く。
「それにしても何じゃ、この道は。人一人通っておらんではないか…まったく、気持ち悪い…」
「人がいないのがそんなに変かな、お爺さん」
突然現れた人影に、老人は思わず叫び声をあげる。
人影は別に気にしていないようで、そのまま続けた。
「そんなに寂しいなら、僕が話し相手になってあげるよ」
老人は余程驚いたのか、腰を抜かして地面にへたり込んでいる。
「ねえ、お爺さん」
人影は、問うた。
「正義って、何だと思う?」