【完】溺愛フラグが立ちました。
(もしかして……)
この人、男が好きなのかな……?
「すみません。つい、嬉しくなって声をかけてしまいました」
同士を見つけて嬉しくなったんですね、わかります。
「いえ……」
私だって似た趣味の人と出逢えて今ものすごくテンションが上がっています。
ただ、その感情を表に出すのはそんなき得意ではないので、喜んでいるようには見えないでしょうが。
「よろしければ、もう少し貴女とお話がしたいのですが」
「えっ」
「ダメですか……?」
そういってはにかむ男は貴公子のよう。
気高く美しいその容貌を『尊い』以外になんと表現すればいいかわからないくらいには尊い。
えっと、貴方は、
二次元から飛び出してきたのですか……?
「……わ、私でよければ」
そう答えたものの、頭の中は真っ白だ。
たいして面白い話をする自信もなにもない。
女子校育ちの一人っ子。生まれて23年間、男子とつるんだ経験は皆無。
一番仲のいい異性、おじいちゃん……。
そんな私があなたと話すなんて、いくら同士とはいえ敷居高です。