【完】溺愛フラグが立ちました。


 おそるおそるタップすると、メニューが開いた。


「噂には聞いていましたが。やはり綺麗ですね」


 鮮やかな画面に釘付けになる。


「この会社、なんていうかお金かけてますよね。いろんなとこに」

「と、いいますと?」

「イラストレーターさんにしても声優さんにしても、有名どころを起用しているじゃないですか」


 この新作だってそう。発表時から大きく話題になっていて、乙女ゲームファンだけでなく絵柄や中の人(声優さんのことをそう言ったりもする。又は、CVという言い方がごく一般的だ)のファンが大注目している。


「太っ腹ですよね。いくら一部課金アイテムがあるとはいえ、基本的に無料ゲームなのに。儲けあるんですかね。課金ユーザー的には、素晴らしいゲームなんだから全員が課金するシステムにしちゃってもいいのにって思っちゃいます。課金だって、他のゲームよりお得になってるし」


 すると、男は目を細め、クスリと笑った。


(私、変なこと言ったかな……!?)


 もしかして語りすぎた?

 夢のあるゲームに現実的な話を持ってきすぎた?


 それともこんな根暗そうな女が突然ベラベラ話し始めたから引かれてる!?


「あなたはなんの心配もしなくていいんじゃないですか? いちユーザーなのですから」

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