【完】溺愛フラグが立ちました。
別に遭難したわけでもないし、一人ぼっちでもない。
外から珍獣や魔物が襲い掛かってくる世界でもなければ、急いでもいない。
しばらくすれば運転も再開されるはずだ。
そう思うから落ち着いていれれるだけで。
……本当は、寒さも暗さも得意ではなかったりする。
お借りしていたタブレットはお返しした。落っことして傷でもつけたら大変だ。
「あ、えっと……すみません。せっかく名刺もらったのに見れてなくて」
手には、握りしめたままの名刺。
目が少し慣れてきたが字は読みづらい。
「外瀬理(とのせ おさむ)と申します」
「トノセ……さん」
「はい」
「珍しい名字ですね」