【完】溺愛フラグが立ちました。


「ちなみに私は大阪に一泊する予定なんですよ」

「それじゃあトノセさんは、明日には東京に戻られるんですか?」

「ええ。知冬さんは?」


 私は……。


「私は、もう、東京に戻るつもりはないんです」

「……え?」


 意表をつかれたように驚いた声色のトノセさんだが、それ以上なにも問いかけてこない。

 もしかして私が自分のペースで話し出すのを待ってくれているのかな。

 だとしたら、トノセさんは、優しいひとだ。


「実は、お恥ずかしい話……。就職に失敗しちゃいまして。フリーターをしてたんですけど。親に『フラフラしてるなら帰ってこい』と言われました」

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