【完】溺愛フラグが立ちました。
まさか、この話をこんな場所で他人にするとは思いもしなかった。
一番仲のいい友人にしか伝えられていないし、そのときだって、なかなか言えなかった。
出発の数日前にようやく伝えると決心してやっと話せたくらいなのに。
出逢ったばかりのトノセさんには、なぜかこんなにもスラスラと話しているのだから、自分でも信じられない。
「そうでしたか」
「元々、両親には夢を追いかけることに反対されていたんです。それでも諦めきれなくて、だからってなにか結果を出すわけもなくだらだらと過ごしてました」
「夢……ですか」
「ごめんなさい。なんだか暗い話をしてしまって」
薄暗い車内で初対面の人にするような話じゃなかった。私にコミュ力があれば、楽しく会話を弾ますことができるのに。
「いいえ。もっと聞きたいです」
「え?」
「私は貴女のことが知りたいですから」
「っ、私のことが……?」
「最初に見たとき、楽しそうにスマホを覗き込んでいましたよね」