【完】溺愛フラグが立ちました。


 夢を持つのは素敵なことだ。

 だけど夢を追うことがどれだけ難しいかということを、私は痛感した。


「実家に戻ってからは、なにを?」


 トノセさんは、気休めの言葉はかけてこないみたい。こんなとき、他の人なら私を励ましてくる。


『知冬ちゃんなら大丈夫。上手いもん』

『頑張って夢を叶えてね』


 そういう言葉をかけられるたびに、素直に喜べなくなった。

 最初は嬉しいと感じていたはずなのに。いつしか虚しくなっている自分がいた。

 そんな捻くれた自分にときどき嫌気がさす。


「まだ決まってません。公共職業安定所に通って、探します。いつ就職できるやら」

「そうなんですね」


 やっぱり頑張ってとは言わない。


「すみません……。愚痴になっちゃいました」

「いいことを思いつきました、知冬さん」

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