【完】溺愛フラグが立ちました。
――唐突に、三次元に呼び戻された。
(え……?)
理由は至って単純で。
片方の耳から、イヤホンが抜けたせいだ。
いいや。抜けたんじゃない。
……抜かれたんだ。
おかげでそれまで聴こえていたメロディも、大好きな人の声も、ボリュームが半分になってしまった。
代わりに耳から入ってきたのは、雑音。
ええっと。あの。
なにしてくれているんですか?
「返してくださいっ……」
――私の耳からイヤホンを抜いた、スーツ姿のお兄さん。