【完】溺愛フラグが立ちました。
「なにかお知らせがあれば、私が聞いておきますから。無理なさらずにゆっくり休んで下さいね?」
その優しさに、甘えてしまおうか。
いや、でも……。
「トノセさんは?」
「私はまだまだ起きていますよ。やるべきことが残っていますので」
「お仕事……ですか?」
「ええ。といっても、パソコンを開くわけにもいきませんしねぇ……できることは限られていますが」
周囲の人たちに明かりがあたるのを(薄暗い車内で使えばまぶしくなるだろうから)気にしているのだろう。
「ひとまず一本電話をかけてもよろしいですか?」
「ど、どうぞ」
もしかしてずっとかけたかったりしたのかな。
「失礼」そういって携帯電話を耳に当てたトノセさん。
近すぎるのもあり、電話から呼出音が聞こえてくる。
「――俺だ」
優しいお兄さんから、途端に雰囲気が変わる。