【完】溺愛フラグが立ちました。


 さっきより低いトーンで冷静に話し始めたビジネスモードのトノセさんにドキリとする。

 こんなにも一瞬で切り替えられるものなんだな。


「さすがにニュースにも出ている頃かなと思ってね。ああ。そういうわけで、到着が遅れる。……いや、迎えはいらない。くれぐれも――」


 聞いちゃっていいのかな。
 

 『俺』って言ったよね……。

 ずっと『私』だったから、ビックリした。


 少しして、「頼んだよ」と電話が切られた。


「すみませんでした」

「い、いえ」

「本来ならここでなくデッキでしたいのですが」

「立ち歩くなって言われてますしね……トノセさんこそ、ゆっくり眠って下さいね?」

「そうは言われましても」

「?」

「まだまだ眠れそうにないです」
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