【完】溺愛フラグが立ちました。

　そんなことを言われたのは、いつぶりだろう。


　学生時代、教室でスケッチしていたら近くの席の子が『上手だね』って言ってくれて。


　“もっと見せて。あれを描いて。”


　……そう言われるのが、嬉しかったっけ。


「中学生のとき。お年玉で、ペンタブを買ったんです。あ、ペンタブレット……わかりますか？」

「ええ。パソコンでお絵かきするのに用いるものですよね？」

「そうですそうです。高いものは数万円するし、液晶タブレットというのもあってそっちは十数万から数十万円とかするんですけど。当時は中学生なので、一万円もしないものを買って。それでも初めてのアナログでのお絵かき道具にわくわくして」

「そうですか」

「インドアな私は暇があれば漫画を読んだりゲームしたり、それからお絵描きしてました」


　最初は好きな漫画のキャラクターを模写して、似なければ何十回と描き直した。

　なかなかバランスよく描けなくて、より上手く描く方法を探っているうちに独自の技術がそれなりに身についた。