【完】溺愛フラグが立ちました。



「意味が……わかりません」

「私は貴女が描いた絵、好きですよ」

「……は?」

「見たことのないフリして、すみませんでした」


――え?


「『ヨルハフユ』さんですよね?」

「……なっ……」

「もしかしてとは思いましたが。身の上話を聞けば聞くほど、類似していたんですよ。思い浮かべる人物像と。ヨルハフユさんもまた、関西の人で。推しは、一宮奏多ですから」


 ヨルハフユは――私のハンドルネームだ。


「本名、寄葉知冬(よりは ちふゆ)。それを片仮名表記にするときに『ヨリハ』から『ヨルハ』に。『チフユ』の『チ』を抜いたのは、どうしてなんです?」


 トノセさんが私を知っていた?


「貴方は、一体……」

「とある投稿サイトで、素敵なイラストを描く人がいるなぁと眺めていたことがありまして。それが、ヨルハフユさんでした」


 ゾクゾクした。

 こんなにも広い世界で、私の絵を知っている人が。

 私の絵を好きだという人が、隣にいる。


< 63 / 91 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop