【完】溺愛フラグが立ちました。



「貴方のイラストのキャラクターたちは、本当に生き生きとした表情をしている」

「見て……くれたんですね」

「手を抜いていたなんて、思っていません。一生懸命描いていたことも、貴女が頑張っていたことも知っています。先程は冷たいことを言ってすみません」

「……なんで、あんなこと言ったんですか」

「つい、イジワルしたくなりました」

「はぁ……!?」


 思わず心の声がそのまま漏れてしまった。


「退会されたのに気づいたときは、驚きました。突然のことでしたので」


 挨拶もなしに投稿サイトから姿を消した。

 イラストと一緒に、もらったコメントまで失った。


 これまで応援してくれた人たちとの繋がりを、自らたってしまった。


「……すみません」


 バカなことをしたと思う。

 きちんとお礼を言えばよかったと。


 ずっと描いてこれたのは、周りの人たちがいてくれたおかげだったのに。


「悲しかったんですよ? 貴方が、消えてしまって。その仕返しです」

「なっ……仕返し、ですか?」

「なんて。嘘ですよ。単純に、可愛い子は苛めたくなる性質(たち)でして」

「……なんですか、それ……」

「知冬さん」

「……はい」

「これで、少しは私にも興味持っていただけました?」


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