【完】溺愛フラグが立ちました。



 私が、T-GAMESの社長にイラストを……?


「貴女はまだ若い。その世界で活躍している人が、なにも10代とは限らないでしょう?」

「それはそうですが……若い方が伸びしろもあります」

「否定はしません。ですが、諦めるにしても。諦めつくまで続けてみてはどうですか」

「ま、待ってください」

「どうしました?」

「もし、成果がでなかったら……」


 用意してもらったものが無駄になるんじゃないかな。

 トノセさんを、ガッカリさせてしまうんじゃないかな……。


「今からそんな後ろ向きにならなくていいんじゃないですか?」

「でも……」

「好きなだけあがいて下さいよ」


 好きなだけって、どれくらい……?

 私にまだできることなんてあるの?


「投資するつもりですか?……私に」

「これは投資なんかじゃないです」

「?」

「私の娯楽です」


(娯楽……?)


「おっと。気分を害されたならすみません」


 別に嫌な気分になって黙ったわけじゃない。

 なにがなんだかわからないだけだ。


「貴女が夢に向かって費やす時間もお金も、私は無駄になるとは思わない。一生懸命な貴女を見守りたい、ただそれだけです」

「見守りたい……?」

「これはビジネスマンとして口説いてるわけじゃなく。一人の男として、お願いしてるんですよ?」


< 69 / 91 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop