【完】溺愛フラグが立ちました。


「なんで……」

「そんなの。決まってるじゃないですか。好きになっちゃったからですよ」

「っ、」


 好きって?

 どんな『好き』??


 私の絵が? 私が?

 LIKE? LOVE??


 ダメだっ……頭が、パンクしてしまいそう。


「この新幹線が動き出してからも。ずっと私のそばにいてくれませんか」

「……ずっと?」

「誰よりも、貴女のことドキドキさせてあげます」

「それって……あの……どういう意味ですか」


 自惚れてもいいのかな。

 それとも私の勘違い?


「嫉妬してるんです。ものすごく」


(!?)


「あんなに嬉しそうな顔を向けられていた彼が羨ましい」


(彼……?)


「知冬さん。私、悔しいんですよ」

「な、なにがですか」

「あなたが私以外の男に夢中になっているのが」


(……はい?)


 『私以外の男』って……まさか……。


「かなてぃですか?」

「その名前を、いま呼ばないでいただきたい」


 なんで不機嫌になるの?


「こんな気持ちは初めてなんです」

「こ、こんな気持ち……?」

「かなてぃに嫉妬してます」


 そりゃあ初めてでしょうね!??


「だから、さっきも言いましたが……『推し変』してくださいね?」

「推し……変……」

「かなてぃから。私に」


(!??)


「自分で作り出しておいてなんですが。二次元の彼でなく。私に夢中になってもらいたい」

「……トノセさん……」

「三次元の男の良さ、私が教えて差しあげます」


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